第138回芥川賞、直木賞(日本文学振興会主催)の選考会が16日、東京・築地の料亭「新喜楽」で開かれ、芥川賞は川上未映子さん(31)の「乳と卵」(文学界12月号)に、直木賞は桜庭一樹さん(36)の「私の男」(文芸春秋)に決まった。
シンガー・ソングライターとしても活躍する川上さんは「めっちゃ、うれしいです」と大阪弁で喜びを爆発させた。中国人作家初の芥川賞候補になった楊逸さん(43)は受賞を逸した。贈呈式は2月22日、賞金は各100万円。
「めっちゃ、うれしいです」−。都内の会見場に黒のシースルーのブラウスに、白のミニスカート姿で現れた川上さん。その美ぼうと美脚に、群がったカメラマンたちからは思わずため息がもれた。
大阪出身の31歳。美人シンガー・ソングライターが快挙だ。
会見で感想を問われた川上さんは「びっくりしてます。励みになって、背筋が伸びる思いです」と話した。
受賞作は豊胸手術をするために上京した母親と娘の物語。大阪弁を交えた文体が特徴だが、「まだ、大阪弁のノリやグルーブが、書き言葉に近づいていない。『すまない、大阪弁』という感じです」。
川上さんが一番受賞の喜びを伝えたかったという大阪の母親に電話をすると、「結構冷静に『おめでとう』と言われました」とはにかんだ。
自称「文筆歌手」。「すごく貧しかった」という家に育ち、弟の学費を稼ぐためにホステスもした。バンドで歌っていたところに声が掛かり、2002年にSMAPやサザンオールスターズなどが所属するビクターエンタテインメントから歌手デビュー。
シングル3枚、アルバム3枚を発表した。が、独特の歌詞の世界が難解だったのか「壊滅的に売れなかった」。
少しでも知ってもらおうと始めたブログが好評で、詩や小説の依頼が舞い込んだ。
07年、初めて書いた小説『わたくし率イン歯ー、または世界』(講談社)が、芥川賞候補に。2度目となる候補作で見事受賞を果たした。
選考委員の池澤夏樹氏は「ボイスがあり読んでいて声が聞こえてくる、なめらかな文体」と評した。
また、川上さんが歌手という点については「関西弁がらみで口語的で次から次へと繰り出される文体には、音楽をやっていた町田康さんがいる。そこにも深い関係があるのかなあと思う」と話した。
今後も歌手活動は続けていくという川上さん。「歌うことは体の運動にすごい必要なことなので、(文筆活動との)バランスをみてやっていきたい」
川上 未映子(かわかみ・みえこ)1976年8月29日、大阪市生まれ。31歳。2002年、ビクターエンタテインメントからアルバム「うちにかえろう~Free Flowers~」でCDデビュー。
昨夏、「わたくし率イン歯ー、または世界」芥川賞候補作で第1回早稲田大学坪内逍遥大賞奨励賞を受賞
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