新型インフルエンザに対する備えは十分だろうか。
アジアの各地で鳥インフルエンザの発生と、人への感染、死亡例が増えている。
インドネシアでは、毎日のように犠牲者が続く。鳥から人に感染し始めた2003年11月以降、犠牲者数は、今年、ついに100人を突破した。世界の半数近くを占める。
中国では昨年12月に、父子の間で鳥インフルエンザの感染が起きて息子が死亡した。人から人へ鳥インフルエンザが感染する事態は、2006年のインドネシアでの発生例に続き4例目だ。
これまでは、飼育中の鶏を調理するなど、ほとんどが感染鳥と濃厚に接触して発症していた。だが、中国の例では鳥は飼育していなかったという。
その他の症例でも、感染源が不明な例が増え、人と人の間で容易に感染する新型インフルエンザ出現への懸念が強まっている。新型に備えた対策に着実に取り組むことが大切だ。
政府の予測では、新型インフルエンザが流行すると国内で17万人から64万人が命を落とす。入院患者は最大200万人にのぼる。混乱は避けられない。
対策の柱は「新型インフルエンザ対策行動計画」と、これに基づく指針だ。拡大を抑え込むため、国民に外出自粛を要請し、入国の検疫を強化する。同時に、ワクチンや抗ウイルス薬を使って、新型インフルエンザウイルスと闘う。
すでに、抗ウイルス薬タミフルを2800万人分、現在の鳥インフルエンザウイルスを使って開発されたワクチンを1000万人分備蓄している。
だが、限られた薬とワクチンをどう使うか、といった細部はまだ詰まっていない。患者の収容施設や、治療に不可欠の人工呼吸器は圧倒的に足りない。
症状を軽減させると期待されるタミフルも、本番では、どこまで頼れるか。今の鳥インフルエンザウイルスでさえ、この薬に耐性を持つものが出ている。
海外の状況も踏まえ、与党は、プロジェクトチームを設けて対策の検証に乗り出した。重大な欠陥はないか、厳しくチェックすべきだろう。
国際的には、新型ウイルスの監視体制に軋(きし)みが生じている。中国のように、世界保健機関(WHO)への情報提供が不十分な国がある。
患者から検出したウイルスを海外に提供するのを渋るインドネシアのような国もある。ワクチンや治療薬開発で、先進国の企業が利益を得ることに不満があるという。
大規模な感染症に国境はない。国際協力を進めなければならない
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