震度判定、実態とズレ
気象庁が速報する震度が最近、被害実態と合わなくなっているという指摘が専門家から相次いでいる。
阪神大震災では震度6で3割程度の木造家屋が全壊したとみられるが、岩手・宮城内陸地震の全半壊は1%に満たない。
気象庁は将来の見直しを見据えて被害分析を進めている。
日本の震度階級は1884(明治17)年に制定。戦後間もなく、震度を0~7の8段階に分けた。
気象台や測候所の担当者が体で感じた揺れや被害状況から判断した。
ところが、95年の阪神大震災で、最大震度7が分かったのは3日後の現地調査でだった。
これでは初動に役に立たないと、気象庁は96年に「計測震度」として、震度計で自動的に算出できる体制を強化。
計測震度は、「5弱」「6強」など10段階に増やした震度階級に「翻訳」後、2、3分で発表できるようになった。
震度計は現在、自治体などの設置分も含めて全国で約千カ所に増えた。
今回、観測された最大の計測震度は宮城県栗原市の6.2。震度階級では「6強」にあたり、震度階級解説表では「耐震性の低い木造住宅では、倒壊が多い」とされる。
ところが、総務省消防庁の19日現在のまとめでは、同じ6強の岩手県奥州市と合わせた被害は全壊4棟、半壊3棟で全世帯(6万7817)の0.01%だ。
今後増える可能性はあるが、家屋への被害に限って見れば、同じ6強の揺れだった新潟県中越地震の小千谷市(31.0%)、能登半島地震の石川県輪島市(12.1%)などと比べ、かなり低い。
今回現地を調査した筑波大学大学院の境有紀准教授(地震防災工学)は、「5強」が妥当だとみる。
気象庁の計算式では今回のように短周期の地震波の場合、数字が大きめに出る傾向があるという。
「『6強』でも大丈夫と思われたら、耐震化も進まない。システムを改めるべきだ」と話す。
00年に起きた鳥取県西部地震では6強だったが死者はゼロ。国土庁(当時)の検討会で、「実態と違うのではないか」との意見が出ていた。
計測震度の導入から12年がたち、建物の耐震化も進んだ。「過去の地震と比べるうえで震度階級に意味はあるが、一つの物差しで測るのは難しくなった」というのは東京大の古村孝志教授(地震学)。
このほか、解説表の中身の方を実態に合わせるべきだという意見もある。
気象庁は、中越地震や今回の地震を詳しく分析していることを認めつつ、公式には「被害が出る大きな地震のデータはまだ少なく、見直す予定は今のところない」(宇平幸一・管理課長)と説明する
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(横浜)
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